専門性の高さを活かし
ラインのアウトプットまで
責任を持つ商社でありたい
小田 浩正
これまでに、フィールドエンジニアとして様々な国を訪問。
2002年の起業以降は、タイとシンガポール、日本を拠点に事業を展開している。「誠実と信頼」をモットーに、今後はさらに「東南アジア各国における雇用の創出とエンジニアの育成に注力していきたい」と語る。
このページでは代表取締役・CEOの小田浩正が、当社に関する様々な質問にお答えします。 起業の経緯や強み、さらには今後の目標まで、当社を深く知っていただくために自身の道のりを振り返りつつ語ります。
Q.現在に続くキャリアのスタートから教えてください。
学生時代に電気工学を学んだ後、東京の産業機器メーカーに入社しました。同社が手掛けていたメディア系製品に関わりたかったのですが、入社後すぐ、社内設備の立ち上げ要員に選ばれました。 これが産業機器の立ち上げ、つまり、製造から設置、保守・運用まで担うフィールドエンジニアとしての第一歩になりました。
Q.その頃から海外に出向かれていたそうですね。
数年ほど国内の現場を経験した後、現在のウクライナやアメリカ、東南アジアなどの現場を、20代後半まで渡り歩きました。だいたい1人で訪れていたので、初め怖さもありましたね。ただそのおかげで得たのが、どこの国で、何が起こっても慌てないハートです。トラブルなくスムーズに進むと、むしろ拍子抜けするほどまで鍛えられました(笑)。 その後、30歳手前でエレクトロニクス関連機器を扱う専門商社に移り、前社と同様の業務に就きました。「もう海外は十分」と思っていましたが、2年後、タイ支店の技術管理者として赴任します。マネジメント業務に興味があったのです。
Q.タイでのやりがいや苦労を教えてください
当時は景気が良く業績が好調で、当初5名程度だった現地スタッフも約10年後には30名近くにまで増え、やりがいは十分でした。逆に、機械相手のエンジニアリングとは異なり、マネジメントは人が相手です。日本と異なるタイの方々の気質や難解なタイ語には苦労しました。 それらの経験から学んだのは、予測不能な事態へのバックアップの重要性です。現在も当社ではリスクマネジメントとして、どの現場にも担当者2人体制で臨んでいます。
<創業後について>
Q.タイで起業されるまでの経緯を教えてください。
10年におよぶタイ駐在を終えて帰国した際、良くある浦島太郎になっており、それならタイで起業しようと判断したのです。理由はふたつあります。まず、タイは外資を誘致するBOIと言う施策が充実しており、当社のようなスタートアップでも、キャッシュフローが有利だったこと。 もうひとつは、タイへの愛情です。まだ貧しい人も多いタイでの起業は、新たな雇用を生み、生活や学習環境の底上げにつながります。長年タイと関わるうちに、タイや東南アジア各国を豊かにするお手伝いができたらと考えるようになったのです。
Q.その頃から現在まで、どのような点を強みとしてこられましたか。
専門性の高さです。産業機械はアウトプットの質が最も重要です。その点、当社は半商社でありながら、タクトタイムなどを含めた機械の仕様決定まで関われる知識と経験を備えています。 やはり、私自身がフィールドエンジニア出身で、「アウトプットまできちんと見る」ことが当たり前だったからでしょう。むしろ、商品を納入だけして終わり、という仕事ができないのです。
Q.では、社員教育において大切にされていることを教えてください。
「現場主義」です。机上で考え、やり取りするだけではアウトプットまで責任を持ったサポートはできません。当社が納品した機械だけでなく、ライン全体を俯瞰的に把握するためにも、現場に入り、実物を見て、エンジニアと話すことを重視しています。 今後は当社も、より効率的にラインを把握する「生産管理システム」を導入していく予定です。ただ、効率良くマニピュレーションできたとしても、トラブルなどの原因追究のために現場に足を運ぶことは不可欠です。それができなくては、トラブル箇所の部品を交換するだけの「チェンジニア」になってしまうからです。問題解決につながらないチェンジニアにだけは、ならないよう指導しています。
Q.最後に、今後の目標を教えてください。
2027年に25周年を迎えますが、コロナ期などを除けば、業績は右肩上がりを続けてきました。とはいえ、今後も成長が続く保証はありません。今はニーズが高い半導体もどうなるのか、次に求められる商品は何なのか、予想は困難です。
ただいずれにしろ、これからは定期的なメンテナンスによって、機械を止めずにオペレートを維持していく「Predictive Maintenance」の考え方が主流になっていくはずです。生産管理システムの導入を進めつつ、現場主義で培ってきた知見を活かしてできる限りの努力をすることが、どれだけ技術が進歩し、ニーズが変遷したとしても大切だと考えています。